【改正水道法】水道民営化とは?水道民営化についてわかりやすく解説!

水道が民営化されたことをご存知の方はどのくらいいるでしょうか?

水道法が改正されたニュースは一般認知度が低いものの、改正前には一部でちょっとした話題になりました。

民営化されることで、自由化された電気やガスのように水道のあり方も変わっていくことが予想されます。

今回は、改正水道法の概要からメリット・デメリットにいたるまで詳しくお伝えしていきたいと思います。

水道法の改正について

水道法の改正は2018年12月12日に行われました。

改正には「水道の基盤強化」が目的とされています。

たとえば、所在確認ができない工事業者の撤廃や、不正な水道工事を防ぐことなども挙げられています。

しかし、我々が毎日使っている中で水道の基盤が弱いと感じることは少ないと思います。

一体なぜ水道法は改正されるまでに至ったのでしょうか?

なぜ水道法の改正が行われたのか?

これまでは水道の管轄は市区町村単位で進められていました。そのため、自治体ごとに制度や設備、あるいは利用料金にいたるまで内容が異なっています。

水道事業はその公共性の高さゆえ、これまで競合となる民間企業も存在しませんでした。

そのため、人々は居住した地域のルールや設備をそのまま利用していました。

しかし、近年全国的に以下の問題が表面化してきたのです。

  • 水道の老朽化
  • 耐震化が遅れている
  • 人口減少による自治体の脆弱化
  • 水道事業者の資金問題

水道の老朽化

現在使われている水道管路は、昭和30年代ごろの高度経済成長期に整備されたものが多く、老朽化が進行しています。

1年間に漏水や水道管の破損が起こる件数は全国で2万件以上もあることが分かっています。

平成28年度の調査では耐用年数を超過している水道管路が14.8%あることが判明し、すべての管路を更新するためには130年以上かかる計算です。

耐震化が遅れている

また、耐震構造を持つ水道管路も4割程度と少ない数値です。上昇率も年1%程度と、決して早いとは言えないスピードです。

地震大国である日本にとって、大規模な災害が起こってしまった時の断水が、長期に渡る可能性もあります。

人口減少による自治体の脆弱化

先ほども触れた通り、水道事業は市区町村単位で運営されています。

そのため、人口が少ない自治体は運営が小規模で経営基盤に問題があるところも少なくありません。

運営が脆弱になると人材も確保できず、資産管理や問題発生時の対応も不十分になると考えられています。

過疎地域など自治体の経済環境が悪いと、水道などの公共サービスが続けられなくなるかもしれません。

水道事業者の資金問題

現在、全国の水道事業者の実に3分の1が、コストが利益を上回っている状態です。いわゆる原価割れ状態ですね。

水道はこれからも必ず人の生活に必要なものなので、経営を安定化させるのは近々の課題とされています。

これらの4つの問題を解決し、安全に水の供給を続けるために水道の基盤を強化する必要がある。と厚生労働省は声明を発表しています。

市区町村単位だけでなく、都道府県、国と連携を取り、料金・サービスの格差是正、経営資源の有効活用・災害発生時の対応力強化が期待されています。

参考:https://www.soumu.go.jp/main_content/000597195.pdf

水道法が改正後の認知度は?

水道法はすでに改正されていますが、一般層にどれほど浸透しているのでしょうか?

残念ながら認知度は低いです。

ミツカン水の文化センターが、2019年6月に首都圏・近畿圏・中京圏の居住者1,500人を対象に「水に関わる生活調査意識」調査を行いました。

その中にあった「水道法が改正されたことの認知」という項目で以下のような結果が出ました。

  • 知らない・・・63.1%
  • 改正自体は知っている・・・28.6%
  • 内容まで理解している・・・8.3%

また、「水道法が改正されたことの認知は? 」

【水道事業の民間運営がしやすくなったことを知っているか?】

  • 知らない・・・69.3%
  • 知っている・・・30.7%

なんと約6割の人が水道法改正について知らず、改正後の内容を知らなかったという人は7割にも上るという驚きの結果に。

また、同意識調査では水道事業が民営化になった場合、

  • 水の安定維持
  • 水道管の老朽化対策
  • 料金
  • 水の安全性と質
  • 地域格差

の5つの項目が「悪くなる」と答えた人が多く、「民営化によって良くなる」を選択した数を上回ったことが分かりました。

改正水道法が施行されてからそれほど時間が経っていないので、判断できかねる要素が多いですが、この調査により水道の民営化に懸念を持つ人が存在していることが明らかになりました。

参考:http://www.mizu.gr.jp/chousa/ishiki/2019.html

水道民営化でどのように変わっていくのか?

厚生労働省の発表も、民間の意識調査結果もどちらも納得できる要素があるように感じますが、今後水道はどのように変化するのでしょうか?

国としては、料金収入の安定化、再設備による安全性・耐震性の向上・地域格差の縮小を目指しています。

実際に、水道料金の格差問題は深刻視されています。

日本全国の自治体で最も水道料金が安い自治体と、最も高い市区町村では8倍もの差があります。

同じ量を使っても850円ほどの地域もあれば、6,000円以上も請求されるエリアもあるのです。

これには地域ごとの人口や地形も関わるため、人口が少ない地域は1人1人が負担する金額が高くなってしまいます。

この問題を解決するためには、確かにもっと都道府県や国単位で整備を進めることが大切だと言えるでしょう。

水道民営化が本格的になった際の考えられるメリット・デメリット

日本で水道民営化が広まったら、どんなメリットとデメリットが考えられるでしょうか?

メリット

  • 水道環境の維持
  • 競争が生まれることで市場が盛んになる
  • 運営権売却によって小さな自治体でも売却益が出る
  • 利用者の選択肢が増える
  • 特典やキャンペーンが利用できるかもしれない

デメリット

  • 自治体によってリスクコントロールが異なる
  • 民間企業のため経営の破綻もありうる
  • 最低利用期間(しばり)が発生するかもしれない
  • 料金が変動するかもしれない

と、このように水道の民営化にはメリットとデメリットの両方が存在しています。

水道民営化で現在懸念されている問題点について

世界に目を向けてみると、フランス・アメリカ・ドイツなど、多くの国と地域で水道の民営化がされきました。

しかし、失敗に終わった例も多く、料金は高くなったのに水質が悪化して訴訟問題にまで発展した地域もあります。

民営化後再公営化したのは、32ヶ国267にも上ります。

もちろん、水道の民営化自体が悪いわけではありません。
実際にパリ市が行った民営化政策では、契約書に要求の水準が設けられていなかったことから、市場がコントロールされなかったと指摘する声もあります。

この点は日本でも問題視する人が多く、コンセッション方式(民営化)について賛否両論存在します。

契約や監視をすることで民営化に積極的な自治体もあれば、明確に民営化を否定し、コンセッション方式に参加しない自治体の両方があります。

実際には動き出さないとわからない部分が多い

水道の民営化には、改正がきまってからも様々な議論が交わされています。

これから人口減少時代を迎えるにあたり、市区町村単位での公共事業運営は困難なところも出てくるでしょう。

賛成派も反対派の意見も、もっともな内容な声が多いです。

水道は生活になくてはならないものなので、今後どのように動いていくにしても、1人1人が問題意識をもって、その都度議論していくことでよりよいサービスが作られるのではないでしょうか?

まとめ:【改正水道法】水道民営化とは?水道民営化についてわかりやすく解説!

今回は、水道の民営化について法改正を中心にご説明しました。

  • 政府は設備の老朽化や自治体の経営状態などを鑑みて法改正に踏み切った
  • 競争が生まれ市場が活気づくことも期待されるが、海外の失敗例が多いことが指摘されている
  • 民営化に積極的な自治体は契約書の要求水準やリスクヘッジを行っている

上記3点が本記事の大切なポイントでした。

今後他分野の企業の参入によって、水道事業がどう変わるかが注視されています。