引越し時のお掃除方法と原状回復による敷金の返還について
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賃貸住宅は退去する際にできるだけきれいに掃除するのがマナーですが、「どこまで掃除をすればいいのか?」疑問に思いますよね。
「もう自分が住むことはないし最低限度でいいや」
と思うかもしれませんが、実はしっかり掃除をすることによって敷金の一部が返還されることをご存知でしょうか?
そこで今回は「引越しの時のお掃除方法と原状回復による敷金の返還」について解説していきます。
引越し前の退去時に掃除は必須なの?
冒頭では「マナー」と言いましたが、基本的に退去時の掃除は必須事項です。
カビや汚れが残ったまま退去してしまうと、追加のクリーニング料を請求される可能性があります。
また、敷金の返還も期待できません。
当たり前のことですが、誰もができるだけ綺麗な物件を借りたいと考えます。
お風呂場がカビだらけだったり、シンクが水垢だらけだったりする物件を借りたいと思う人はいないでしょう。
そのため、部屋が汚いまま退去された物件は、原状回復のためにクリーニングを行う必要があります。
掃除をせずに退去しても敷金や追加のクリーニング料で補填されるので問題はないのですが、やはり借りたものは綺麗にして返すのがマナーです。
プロレベルの補修までは必要ないにしても、自分でできる範囲の掃除はできる限り行ってから退去するべきだと言えるでしょう。
引越し前のお掃除をしっかりするポイント
では、「自分でできる範囲の掃除」とはどこまでのことを言うのでしょうか。
理想を言えば、入居した時と全く同じ状態に回復させるのが最善ですが、それはなかなか難しいでしょう。
引越しの手続きなどで忙しく、掃除に割ける時間も限られています。
そのため、いくつかのポイントを押さえて掃除をするのが現実的です。
重点を置いて掃除する箇所や、見落としがちなポイントについて以下で見ていきましょう。
シンクの水垢
シンクの水垢は、「通常使用の範囲」とみなされる場合が多いです。
そのため、多少の水垢であればそのままでも敷金から引かれる可能性は低いです。
ただし、長年掃除を怠った結果としてシンクに水垢がこびりついてしまった場合は、原状回復の費用が借主の負担になることもあります。
通常使用の範囲とみなしてもらうためにも、シンクの水垢はできるだけ綺麗にしておきましょう。
水垢の除去にはクエン酸やレモン汁、お酢などが効果的です。
キッチンペーパーなどにクエン酸や酢を染み込ませ、水垢の上に置いて浸透させましょう。
しばらく放置した後にスポンジや歯ブラシなどでこすると、簡単に水垢を落とせます。
換気扇やコンロの油汚れ
キッチンの換気扇やコンロは、家の中でも比較的汚れやすい場所と言えます。
キッチン周りのしつこい油汚れを落とすには、重曹がよく効きます。そして、重曹を使うときは温度と時間が重要です。
油は温めると柔らかくなるので、気温が低い冬などはお湯を使うと落としやすくなります。
時間というのは、重曹で汚れを浮かすための時間のことです。
重曹を溶かした水に一定時間浸け込むことで、汚れを落としやすくなります。
浴室
意外に見落としがちなのが、浴室の汚れです。
浴室は水が勢いよく飛び散るため、様々な場所が汚れます。
掃除をしたつもりでもどこか見落としているかもしれません。
浴室の汚れは大きく2つに分けられます。
1つはぬめりやカビ、2つめは水垢です。
カビにはカビ取り剤を噴射して、少し置いておくのが有効です。
水垢はシンクと同じように、クエン酸やお酢などを浸透させることで落としやすくなります。
畳やフローリングのへこみや色落ちはそのままでOK
シンク→換気扇→浴室と掃除をしていくと、床の色落ちやへこみも気になってくるかもしれません。
しかし、床や畳の色落ちや家具の設置によるへこみ、多少の擦り傷であれば通常使用の範囲とみなされます。
つまり、修復しなくても敷金から差し引かれることはないのです。
こうした自然な摩耗・傷まで自分で修復しようとすると、かえって状態が悪化する可能性があります。
状態が悪化してしまった場合、通常使用の範囲として扱われずにクリーニング代や敷金の差し引きが行われる可能性があるので注意が必要です。
良かれと思ってやったことが裏目に出ることもあるので、あくまでも自分でできる範囲の掃除に留めておきましょう。
引越しのお掃除を手早くする方法について
ここまで長々と掃除の方法について解説してきましたが、結局のところパッと見て見た目が綺麗であれば通常は問題ありません。
そのため、手早く掃除を済ませたいのであれば、目立つ汚れを掃除し、部屋の荷物を残さないよう片付ければOKです。
多少の汚れは通常の使用範囲として見なされるので、そこまで神経質になる必要はありません。
ただし、掃除のポイントでも解説したように、借主が掃除を怠った結果の汚損は原状回復の費用を負担することになる場合もあります。
ピカピカになるまで掃除をする必要はないですが、最低限目立つ汚れはきちんと掃除しておいた方がいいでしょう。
敷金を返還してもらう為には?
退去時に部屋を掃除するとなぜ敷金が返還されるのでしょうか?
それを知るためにまず、敷金の役割について確認しておきましょう。
そもそも敷金とは、家賃の滞納や退去時に原状回復が必要なときのための「預け費用(デポジット)」のことです。
あくまでも預けているだけなので、退去時に返還されるのが基本なのです。
しかし、退去時に部屋が汚れたり傷ついたりしていた場合は、敷金を使って原状回復が行われます。
そして、原状回復に使った費用を差し引いた分が借主に返還されるのです。
つまり、原状回復に使われる費用を削減するほど、敷金が多く返ってくることになります。
ここで問題となるのが、どの程度の汚損が原状回復の対象になるかが曖昧なことです。
実際、原状回復の負担をどちらが背負うかをめぐって借主と貸主の間でトラブルが起こっています。
これを問題視した国土交通省が「原状回復をめぐるトラブルとガイドラインについて」という指標を発表しているので、以下でご紹介します。
原状回復をめぐるトラブルとガイドラインについて(国土交通省)
上記のように、原状回復の責任が借主と貸主のどちらにあるかを明確にするために、国土交通省がガイドラインを発表しています。
ガイドラインでは「通常使用の範囲」を4段階にレベル分けし、汚損の程度がどのレベルであるかによって責任の所在を明確にしています。
A:賃借人が通常の住まい方、使い方をしていても、発生すると考えられるもの
B:賃借人の住まい方、使い方次第で発生したり、しなかったりすると考えられるもの(明らかに通常の使用等による結果とは言えないもの)
A(+B):基本的にはAであるが、その後の手入れ等賃借人の管理が悪く、損耗等が発生または拡大したと考えられるもの
A(+G):基本的にはAであるが、建物価値を増大させる要素が含まれているもの
このうち、BとA(+B)は借主に原状回復義務があるとされています。
つまり、経年劣化や居住している上でついてしまう自然な汚れや傷については、借主に原状回復義務はないということです。
一方、掃除を怠った結果発生した汚損や、故意や不注意による汚損などは借主に費用の負担が生じます。
まとめ:引越し時のお掃除方法と原状回復による敷金の返還について
いかがでしたか?
引越し時に部屋をしっかりとお掃除することで、余分な請求が防げるだけでなく、敷金がより多く返還されるということでした。
壁に空いた穴や床についたへこみなど、自分の手に負えない範囲まで清掃・修復する必要はありませんが、水垢や油汚れなど、自分でできる範囲の掃除は最低限行っておきましょう。
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