クラウドFAXってどんなサービス?普通のFAXとどっちが良いの?

最近ではさまざまなサービスの「クラウド化」が進み、クラウドFAXを使う法人・個人事業主も増えつつあります。

一方で「クラウドFAX」という言葉を聞いたことはあっても、「実際どんなサービスかわからない」という方も多いのではないでしょうか。

「クラウドFAXは普通のFAXとどう違うのか」「自分の仕事スタイルにあっていて、使い勝手がよいのはどちらか」と悩んでいる方もいるかもしれません。

この記事では「クラウドFAXのメリット・デメリット」「どのように使うのが便利か」などについて解説します。

【法人・個人事業主様向け】フレッツ光-新規FAX・電話番号取得専用ページ【法人・個人事業主様向け】フレッツ光-新規FAX・電話番号取得専用ページ

クラウドFAXとは?

クラウドFAXは「インターネットFAX」とも呼ばれます。

普通のFAXはFAX機・複合機と電話回線を利用してFAXを送受信します。一方クラウドFAXでは、パソコン・スマホと「クラウドサービス」を使ってFAXを送受信する仕組みになっています。

具体的には「受信したFAXがPDF形式でメールに届く」「メールにPDFを添付して、FAXを送信する」といった使い方になります。

そのためクラウドFAXでは、FAX機・複合機がなくても、インターネットさえあればパソコンやスマホでFAXを送受信・閲覧可能です。

FAX機・複合機を持たない人同士でFAXを送受信できるのはもちろん、FAX機・複合機とクラウドFAXの間でも送受信できます。

クラウドFAXのメリットとデメリット

続いてクラウドFAXのメリットとデメリットを紹介します。

クラウドFAXのメリット

クラウドFAXの主なメリットは以下のとおりです。

  • FAX機・複合機や電話回線が不要なので、初期コストが少ない
  • インターネット環境があれば、場所を選ばずFAXが送受信・閲覧できる
  • 電子化・ペーパーレス化につながる
  • 紙のFAXよりも一括送信がスピーディー
  • デスクに座ったままパソコンでFAX送受信が可能

まとめますと、FAX機や複合機などの設備が不要になり、インターネットさえあればどこでもFAXが使えるのがクラウドFAXのメリットです。

そのため「FAXでのやりとり」と「外出」が多い個人事業主などにはメリットが大きいでしょう。「一定枚数までは送受信無料」というクラウドFAXサービスもあり、コストダウンにも貢献できます。

クラウドFAXのデメリット

クラウドFAXには、メリットだけではなくデメリットもあります。

  • 元の資料が紙・手書きだと、PDFに変換する手間がかかる
  • インターネット環境がないと使えない
  • FAX番号を新たに取得するパターンが多い
  • パソコンやネットが苦手だと使いにくい
  • メールで届くため見逃す可能性がある
  • 必ずしもコストダウンできるとは限らない

クラウドFAXを利用する場合、元が紙の資料を送る場合には「スキャンしてPDF化する」という手間がかかります。そのためデザイン画・校正・発注書など、手書きの紙資料をやり取りする場合には、普通のFAXのほうがスピーディーに作業できます。

従来のFAXと送受信方法が変わるため、パソコンやインターネットに不慣れな人だと抵抗感を抱くことも。不慣れな人が多い場合、作業手順の変更で一時的に現場が混乱することも考えられます。

一部サービスを除いてクラウドFAX専用のFAX番号を新たに取得する必要があるため、「取引先へのFAX番号変更の連絡」が必要で、取引先を混乱させてしまう可能性もあります。

また「クラウドFAXは安い」というイメージがありますが、一般的に「月額料金」と「送受信ページ数に応じた料金」がかかるため、送信先エリアや利用枚数によっては普通のFAXのほうが安くなる可能性もあります。

ちなみにKDDIから提供されていた「KDDIペーパーレスFAXサービス」は2024年10月でサービス提供を終了する予定です。このように利用していたクラウドFAXサービスが終了するケースもあるので注意しましょう。

また安定的に利用するために必要なことですが、定期的にメンテナンスが実施され、利用不可の時間帯ができるクラウドFAXもあります。

主なクラウドFAXサービス

クラウドFAXはさまざまな企業から提供されています。「主なクラウドFAXサービス」「クラウドFAXを選ぶ際の注意点」を紹介します。

サービスの選び方・比較ポイント

クラウドFAXはさまざまな企業から提供されており、それぞれに「できること」「できないこと」など機能・特徴が異なります。そのためクラウドFAXを選ぶ際には、以下のポイントを押さえて比較しましょう。

  • 利用できるFAX番号
  • 送受信どちらもできるか
  • 対応デバイス
  • 料金体系


クラウドFAXを利用する場合には、既存のFAX 番号そのままで利用できるケースは少なく、新たにFAX番号を取得するパターンがほとんどです。
そのためすでにFAXを使っている場合には、取引先や関係者に「FAX番号変更のお知らせ」をしなくてはいけません。

ただ転送機能付きのFAX機・複合機を使い、既存番号で受信したFAXを新設したクラウドFAXの番号に転送する設定も可能です。

さらに取得できる電話番号が「050」から始まるなど、クラウドFAXでは使える電話番号が制限されるケースが多くなっています。「地域ごとの市外局番から始まる番号がいい」「今あるFAX番号を変えたくない」など、FAX番号に希望がある場合にはサービス選びに注意してください。


また「受信しかできない」「スマホには対応していない」など、利用できる機能が少ないクラウドFAXサービスもあるので注意しましょう。

主なクラウドFAXサービス

では主なクラウドFAXサービスを紹介します。

eFax(イーファックス)

代表的なクラウドFAXサービスのひとつ。パソコン・ダブレット・スマートフォンでFAX送受信が可能で、利用できる市外局番が比較的多いのがメリットです。

月額基本料金 ・月払いプラン:1,980円/月
・年払いプラン:19,800円/年
利用できるFAX番号(市外局番) ・全国共通050
・東京03、横浜045、名古屋052、大阪06など
送受信 どちらも可能

※価格は税込みです
※2022年7月時点の情報です

月額料金のほか、初期費用として登録手数料1,100円がかかります。

なおeFaxは毎月150ページまでは送受信無料です。150ページを超える送受信については、1ページあたりの受信料・送信料がかかります。

MOVFAX(モバックス)

日本テレネット株式会社が提供するクラウドFAXサービスです。

月額基本料金 ・スタンダードプラン:1,078円/月
・プレミアムプラン:4,378円/月
利用できるFAX番号(市外局番) ・全国共通050
・東京03、神奈川045、大阪06(追加料金が必要)
送受信 どちらも可能

※価格は税込みです
※2022年7月時点の情報です

月額料金のほか、初期費用1,100円がかかります。また一定枚数を超える送受信については、1ページあたりの受信料・送信料がかかります。

秒速FAX Plus

秒速FAXは株式会社Karigoが提供するクラウドFAXサービスです。パソコンやスマートフォンから利用できます。

月額基本料金 ・SOHO:520円/月
・ベーシック:840円/月
・ビジネス:1,030円/月
利用できるFAX番号(市外局番) 全国共通050
送受信 受信のみ

※価格は税込みです
※2022年7月時点の情報です

初期設定費用として1,100円がかかります。またビジネスプラン以外は受信1ページごとに受信料がかかります。

なおFAX送信ができる「秒速FAX 送信」という別サービスも、同じ会社から提供されています。

isana(イサナ)

isanaは株式会社エディックワークスが提供するクラウドFAXサービスです。FAXでの受注業務を効率化するためにつくられており、「自動返信」「自動振り分け」「クラウドOCRサービス連携」などの機能があります。

月額基本料金 7,040円/月~
利用できるFAX番号(市外局番) 既存のFAX番号が使える
送受信 受信のみ

※価格は税込みです
※2022年7月時点の情報です

初期設定費用として27,500円がかかります。また「インターネットFAXとの併用」「複合機との併用」など、構成によって月額料金がアップします。

低料金を売りにするクラウドFAXに比べるとコストはかかりますが、その分サポート体制には期待できます。

FNX e-受信FAXサービス

FNX e-受信FAXサービスは、株式会社ネクスウェイが提供する受発注業務向けのクラウドFAXサービスです。

専用のアダプタを既存のFAX回線に接続して利用するのが特徴で、既存のFAX番号をそのまま使えます。FAX機・複合機を残しておけば、ネットワークエラー時には紙でも出力できます。

月額基本料金 16,500円/月~
利用できるFAX番号(市外局番) 既存のFAX番号が使える
送受信 どちらも可能

※価格は税込みです
※2022年7月時点の情報です

初期費用として68,200円(税込み)、送信にも1枚あたりの料金がかかります。

他のクラウドFAXに比べてかなりコストは高くなりますが、機能やサポート体制は充実しています。

クラウドFAX以外の選択肢は?

クラウドFAX以外にも、FAXを導入する方法はあります。

具体的には、以下の回線でFAX番号を取得して、業務用FAX機・複合機や家庭用FAXをリース・購入して設置します。

  • アナログ・ISDN回線
  • ひかり電話
  • CATV電話

それぞれの回線の特徴について、順に解説します。

アナログ・ISDN回線

アナログ回線・ISDN回線は、電話線(メタルケーブル)を利用して通話・FAX送受信します。

アナログ回線はいわゆる「従来型の固定電話回線」と思ってください。ISDNはアナログ回線と同じ回線を使いますが、デジタル化されたデータをやりとりします。

アナログ・ISDN回線のメリットは以下のとおりです。

  • 電話線があればすぐFAXを導入できる
  • 地域ごとの市外局番から始まる電話・FAX番号が使える
  • (アナログ回線の場合)停電時でも使える可能性がある

一方デメリットもあります。

  • 月額料金が割高
  • 遠距離の通信料金が高い
  • FAX機・複合機が必要
  • 回線自体が廃止予定

アナログ・ISDN回線は「加入者数の減少」と「設備の老朽化」により、2024年を目処にサービス提供が終了する予定です。そのため今から新たにFAXを導入するのであれば、アナログ回線・ISDN回線はおすすめしません。

おすすめできるとすれば「すぐに普通のFAXを導入したい」というケースです。その場合も、ゆくゆくは「ひかり電話」に移行することをおすすめします。

ひかり電話

アナログ回線・ISDN回線の代わりにおすすめされることが多いのが、ひかり電話でのFAX利用です。実際NTT東日本・NTT西日本でも、新規の電話・FAX導入にはひかり電話を推奨していますし、法人の電話・FAX導入ではひかり電話が主流になっています。

ひかり電話は、インターネット回線(光回線)を使った電話・FAXです。つまり電話線(メタルケーブル)ではなく、光ファイバーケーブルを使います。

ひかり電話のメリットは以下のとおりです。

  • アナログ・ISDN回線と使い勝手は同じ
  • 通信料金がリーズナブルかつ全国一律
  • 地域ごとの市外局番から始まる電話・FAX番号が使える
  • 電話・FAXと同時にインターネットも導入可能
  • 1回線で複数番号が使える(電話とFAXの番号を分けられる)

一方デメリットもあります。

  • インターネット回線の工事が必要
  • FAX機・複合機が必要

「従来型の電話・FAXの使い勝手で、料金を安く抑えたい」と考えるなら、ひかり電話がおすすめです。

ひかり回線を導入するにはインターネット回線(NTTの場合はフレッツ光)の工事が必要です。申込みから工事までは2週間~1ヶ月程度かかるので、早めの申し込みがおすすめ。申し込みは以下から可能です。

CATV電話

実はCATVでも電話・FAXが使えます。ケーブルテレビ放送回線と光ファイバーケーブル(光ハイブリッド)を使って、電話・FAXの通信ができるからです。

具体的には、KDDIが各ケーブルテレビと提携して、「ケーブルプラス電話」を提供しています。

CATV電話のメリットは以下のとおりです。

  • 月額料金が安い
  • CATV電話同士なら通話無料

一方デメリットもあります。

  • ケーブルテレビのサービス提供エリアでしか使えない
  • 個人・家庭向けのサービス(法人向けサービスなし)
  • 複数の電話番号は使えない
  • KDDIで新規発行した番号は別のサービスに引き継げないケースが多い

ケーブルテレビの提供エリアで料金を優先するなら、CATV電話でのFAX利用を検討してみましょう。ただあくまで個人・家庭向けであり、1番号しか使えないので、ビジネス利用には向いていません。

普通のFAXのメリット・デメリット

「クラウドFAXが便利」と言われることが多くなっていますが、普通のFAXにも、従来型ならではのメリットがあります。

普通のFAXのメリット・デメリットを解説します。

メリット

普通のFAXのメリットは以下のとおりです。

  • 手書き資料の送信が簡単
  • パソコンが苦手でも戸惑うことなく利用開始できる
  • 紙で出力すると視認性が高い

最も大きなメリットとしては、「手書き資料の送信が簡単」という点が挙げられます。

「送られてきた注文書のうち、即納できるものに○をつけて返信する」といった受注業務や、デザイン・記事作成における修正・校正指示などは、「手書きのほうがやりやすい」と感じる方も多いですね。

また従来型FAXであれば、パソコン・スマホの操作が苦手な方でも戸惑わずに使えます。ITリテラシーが高くない場合、普通のFAXのほうがスムーズに使えるでしょう。

デメリット

一方、普通のFAXには以下のようなデメリットもあります。

  • FAX機・複合機が必要
  • 紙を誤って破棄・紛失する可能性がある

なお従来型FAX のデメリットとして「受信したFAXがすべて印刷されるので、紙が無駄になる」といった意見もあります。

ただ最近のFAX機や複合機には「ペーパーレスファクス受信」「見てから印刷」などの機能がついていて、受信したFAXのうち、印刷が必要なものだけを選んでプリントアウト可能です。

また受信したFAXをメール送信・フォルダ転送できる「ファクスクラウド転送」機能があるFAX機・複合機なら、受信FAXをそのまま共有フォルダに転送できます。受信FAXをGoogleドライブに直接保存できる「CLOUD FAX for Google G Suite」などのサービスも提供されています。

ファクスクラウド転送機能がある複合機は、ブラザー、富士ゼロックス、キヤノンなどから発売されていますね。

送信についても、FAXとパソコンをネットワークでつなぎ、パソコンから直接FAX送信できる機種が発売されています(PC-FAX機能)。

そのため従来型のFAXでも、機能や使い方次第でペーパーレス化は可能です。

従来型FAXの導入をお考えならNTTのひかり電話がオススメです。
ひかり電話でのFAX番号の取得はこちらの窓口から最短手続きが可能です。


仕事で使うならクラウドFAXと普通のFAXどっち?

ビジネスユースする場合、クラウドFAXと普通のFAXのどちらがいいのでしょうか。

どちらがいいかは、業種やFAXの使い方によって異なります。一概に「クラウドFAXがいい」「普通のFAXがいい」とはいえません。実際にクラウドFAXと普通のFAXを併用している人もいますし、いくつかのクラウドFAXサービスを併用している人もいます。

業種・使い方ごとの例を紹介します。

デザイン・編集系


デザイン・編集系のお仕事では、普通のFAXのほうが便利だと考えられます。


「受信したFAXに修正点などを手で書き込み、返信する」といった作業が多いからですね。

手書き資料を頻繁にやりとりする場合、クラウドFAXだと手書き資料を写真やスキャナーで取り込む作業が発生し、かえって手間がかかります。

またスキャナーを購入するのであれば、スキャナー付きの複合機を導入するのと、必要なスペースもあまり変わらないのではないでしょうか。

卸売業


受発注業務が多い卸売業の場合、「クラウドFAXと従来型FAXの二刀流」も選択肢になるでしょう。

クラウドFAXだと受信料がかかるものもある一方、従来型FAXだと受信料はかからないからです。また注文書を送ってきてくれる顧客全てに「クラウドFAXにしたので、FAX番号が変わります」と通知するのは大変という事情もあります。

「従来型FAXで受信したものを共有フォルダなどに転送し、送信はクラウドFAXで行う」といった方法も考えられます。

また受発注業務に特化したクラウドFAXやオンプレ型FAXシステムを使う方法もあります。その場合「既存電話番号の利用」や「サポート体制」を求めるとコストは高くつきますので、費用対効果を見極めて導入を検討してください。

不動産業

不動産業の場合、紙で排出されるFAXのメリットが大きいのではないでしょうか。

まず不動産業界全体でFAXが広く使われている現状があります。また「他社から紙で送られてきた物件資料FAXをすぐ見込み客に渡せる」など、接客のスピードを落とさずにすむメリットもあります。

一方クラウドFAXだと「FAXが来るのを待ってメールをチェックし、パソコンからプリントアウトする」という時間がかかります。

個人事業主

上記の業種にあてはまらず、外出が多い個人事業主なら、クラウドFAXがおすすめです。いつでもどこでもFAXをチェックでき、その場で返信もできてビジネスチャンスを逃さずにすむからですね。

個人事業主であれば送受信枚数(ページ数)もそれほど多くないと考えられるので、無料送受信サービスがついているクラウドFAXなら、月額使用料のみで利用できる可能性もあります。

まとめ

「クラウドFAXの概要」や「選び方の注意点」、そして「普通のFAXとクラウドFAXのどちらがいいのか」を解説しました。


クラウドFAXと普通のFAXのどちらが便利で安いのかは、「業種」「パソコンやスマホが得意か」「現在導入しているインターネット回線」などによって異なります。

「手書き資料をFAXすることが多い」「パソコンやスマホが苦手で、メールをよく見落とす」なら、普通のFAXが便利でしょう。


また「クラウドFAXが安い」といっても、使い方によっては普通のFAXのほうが安上がりになる可能性もあります。

通常のFAXを導入する場合、「アナログ・ISDN」「ひかり電話」「CATV電話」などの選択肢があります。

このうちビジネスユースでおすすめなのはNTTのひかり電話。アナログ・ISDNに比べてコストが安く、CATV電話と違って法人契約もできるからです。

ひかり電話でのFAX番号の取得は、こちらの窓口から最短手続きが可能です。

この記事は執筆された時点での情報を元に記載されております。文書・写真・イラスト・リンク等の情報については、慎重に管理しておりますが、閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
記載内容や権利(写真・イラスト)に関するお問合せ等はこちら

\ SNSでシェア /