弁護士の独立開業マニュアル!法律事務所に必要なものと年収について解説

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弁護士の独立開業マニュアル!法律事務所に必要なものと年収について解説

現在法律事務所に所属して勤務弁護士として活躍しており、今後独立開業を考えている弁護士の先生方も多いのではないでしょうか。

「ロースクール時代の先輩や同期が開業したと耳にした」「共同事務所を立ち上げないかと誘われた」といったきっかけで、弁護士としての独立開業に興味をもち始める方もいらっしゃるかもしれません。

この記事では「弁護士が独立開業する時に必要な準備」「独立した場合に見込める年収」「独立に適したタイミングや年齢」について解説します。

また独立開業にあたって利用できる日本弁護士連合会(日弁連)の支援制度や、楽に事務所のライフライン関連の準備ができる窓口なども紹介します。

そのため最後まで読んでいただければ、独立開業についての疑問がスッキリ解決します。すでに開業に向けて心が決まっている方も、具体的な準備に取り掛かれるようになるでしょう。

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弁護士が独立する時期と平均年齢

「弁護士が独立するタイミング・平均年齢」「独立開業するメリット・デメリット」「独立後の年収」について紹介します。

独立に最適なタイミング

独立に最適なタイミングは、以下の条件を満たしたタイミングです。

  • 顧客との信頼関係ができてきた
  • 開業資金や当面の生活費が確保できた

また「家庭も大切にしたい」と考えている方なら、結婚や自身・パートナーの出産といったタイミングとの兼ね合いも大切でしょう。

弁護士が独立する平均年齢

日弁連の調査では弁護士登録から5~10年で独立する弁護士が多いとわかっています。

弁護士登録時を基準にしますので、具体的な年齢は「司法試験に合格した年齢」によって異なります。

司法試験合格時の平均年齢は20代後半なので、5~10年で独立すると「30代で独立する」となります。

独立開業するメリット・デメリット

弁護士が独立開業するメリットとデメリットを紹介します。

弁護士が独立開業するメリット

「自由な働き方ができる」のが、弁護士が独立開業するメリットです。具体的には「受ける依頼・受けない依頼」を自分で選べて、働く日時も自分で決められます。

一方事務所に所属していると。ボス弁(所長・経営者)や事務所の稼働時間に合わせなくてはいけないことも多いです。受ける依頼についても、事務所の専門性が反映されることが多いでしょう。

弁護士が独立開業するデメリット

独立開業のデメリットとしては以下のようなものがあります。

  • 収入が不安定になりかねない
  • 事務所設置や経営のコストがかかる
  • 自力での営業活動が必要

また一人で独立開業する場合は、ボス弁や先輩弁護士への相談ができません。知り合いの弁護士と共同事務所を立ち上げた場合は、「経営方針などを巡り、人間関係がこじれる可能性がある」というデメリットもあります。

独立支援してくれる事務所で働いてから独立開業する手も

弁護士として優秀でも、独立に際して「安定的に事務所を経営していけるのだろうか」と不安をもつ方は少なくありません。

将来的に独立開業を考えている場合は、まず「独立支援」「独立希望者歓迎」を掲げる法律事務所で働いてみてはいかがでしょうか。

独立支援してくれる事務所で働くと、「独立開業に必要な手続きやノウハウを伝えてくれる」「独立後の営業活動のコツを教えてくれる」などのメリットがあります。

また独立前提であれば、開業に向けた退職の相談もしやすいでしょう。

「環境は変えたいけど独立開業は怖い」なら、開業ではなくまずは「独立歓迎の法律事務所」へ転職を検討してみてもよいでしょう。弁護士専門の転職エージェントもあります。

独立後の年収見込みは?

独立開業した弁護士の場合、年収は個人によってかなり差があります。

平均は1,000万円~1,500万円程度と言われますが、300万円程度の方もいれば億を稼ぐ方もいます。

また勤務弁護士時代よりも年収が高くなったとしても、忙しすぎて休日がほとんどない方もいるようです。上記のような場合、いわゆる「時給換算額」は低下しているかもしれません。

弁護士の独立開業にかかる費用

日弁連の開業マニュアルによりますと、弁護士の開業資金の目安は以下の通りです。

  • 自宅開業:50万円
  • 自宅以外での開業:100万円~300万円

主な内訳は以下の通りです。

  • 複合機の購入またはリース費用
  • パソコンの購入費用
  • 応接セット
  • 書籍
  • 事務所を借りる場合は初期費用(保証金など)

また開業資金とは別に、収入が安定するまでのランニングコストや生活費も半年分程度用意しておく必要があります。

ランニングコストの額は「家賃」「複合機のリース代」「人件費(事務員の雇用有無)」などにより異なります。他に弁護士会費や判例検索システムの利用料金などがかかりますね。

生活費も世帯人数や家賃などにより異なります。

弁護士の独立開業に必要な準備

弁護士の独立開業に必要な準備について解説します。

  • 開業資金を確保する
  • 事務所の場所を決める
  • 円滑に退職するための根回しを行う
  • 電話・FAX・インターネットとインフラの契約

開業資金を確保する

独立開業するなら、やはり資金を確保しなくてはなりません。

すべてを自前で用意する必要はなく、足りないなら融資を受けることも可能です。ただやはり「自分で準備しておきたい」「借入はできるだけ少なくしたい」という方が多いでしょう。

また初期費用・開業費用として必要な費用(50万円~300万円)に加え、半年分のランニングコストと生活費も準備しておくと安心できます。

コロナのように予想外の事態が起こる可能性もありますので、余裕をもって用意しておくと安心です。

事務所の場所を決める

事務所の場所を考える必要もあります。所によって集客力も家賃(ランニングコスト)も大きく変わってきますので、慎重に検討しましょう。

場所を考える際には、以下のようなポイントを考慮してみてください。

  • 都会か田舎か(Uターンの有無など)
  • 裁判所との距離
  • 交通アクセスの良さ(依頼者が来やすいか)
  • 家賃
  • ビルの清潔感・管理状況
  • 周辺エリアの競合
  • 自宅との距離

都会ですと仕事が多い一方で競合も多くなります。そのため田舎にツテがあるなら、地方開業を検討してみるのもアリでしょう。なお田舎の場合は「車で行きやすい立地」であることも重要です。

弁護士の独立開業でよくある失敗例として、「家賃の高い物件を借りてしまう」というものがあります。物件を借りる場合、あまり背伸びしすぎるとコストがかかりすぎて失敗する可能性があるのですね。

弁護士のオフィスは、応接スペースなどがきちんととれればコンパクトでも構いません。また清潔感があり、しっかり管理されている建物を探すのがよいでしょう。「依頼者に不信感を抱かせない建物・内装」が重要です。

円満に退職するための根回しを行う

円満に退所するための準備も怠ってはなりません。元の所属事務所とよい関係のまま退職できるかどうかは、独立開業後の仕事にも大きく関わってくるからです。

例えば前の所属事務所と良い関係を維持している場合は、独立開業後に案件を紹介してもらえたり、案件を共同受任できるケースがあります。相手方の代理人が元所属事務所の弁護士だった場合、円滑に交渉できることも考えられますね。

一方退職時にトラブルになってしまうと、悪い噂が広がって悲惨な結果になることも考えられます。

「勤務先や他の所属弁護士の都合」「途中で担当弁護士が変わることになり、見放されたような気持になってしまう依頼者」にも十分配慮しながら、退職を準備しましょう。

電話・FAX・インターネットと電気・ガス・水道の契約

オフィスが決まったら、電話・FAX・インターネットとインフラ(電気・ガス・水道)の契約も忘れてはいけません。

弁護士の事務所には、電話やインターネットだけではなくFAXも必須。

裁判所への書類提出や弁護士間の交渉も、「送信の証拠を残すためにFAXで」が慣習です。「急ぎの場合はとりあえずメールで送って、あとからFAXでも同じものを送る」ということも多いですね。

また電気・ガス・水道といったインフラの契約も必要です。電気・ガスは新電力・新ガスと契約しておけば、光熱費を安くできる可能性があります。

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弁護士が独立開業する上で考えておくこと

具体的な開業準備手続きの前に、「独立開業する上で考えておくこと」もあります。具体的な準備に影響してきますので、独立前にしっかり考えておきましょう。

  • 顧客確保の見込みをつくっておく
  • 独立開業後の集客方法
  • 弁護士としての取り扱い範囲の決定
  • 事務員を雇うか
  • 報酬基準をどうするか

顧客確保の見込みをつくっておく

まずは独立開業後の顧客確保の見込みを立てておくことが重要です。独立開業前から、顧客を獲得するための土台をつくっておきましょう。

土台となるのは人間関係です。

事務所に勤務している間に、「依頼者」「顧問先の企業の経営者・担当者」とよい信頼関係を築きましょう。もちろん所属事務所のボス弁や先輩・同僚の弁護士との関係を良好に保つことも重要です。

また「弁護士会の活動」などで他事務所の弁護士とも繋がりをつくれます。

人間観関係はすぐには構築できません。独立開業前から少しずつ関係性を育てていくことが大切です。

独立開業後の集客方法

独立開業時に人間関係という土台ができていたとしても、土台だけで安定的に仕事を獲得していける可能性は低いです。

安定して仕事を得るため、具体的な集客方法も考えておきましょう。例えば以下のような方法があります。

  • 事務所の公式サイトを作成し、経歴や得意分野をアピール
  • 弁護士会・市区町村・法テラスの法律相談
  • 国選弁護人名簿に登録
  • 異業種交流会に参加し経営者とのつながりをつくる

資金面で余裕があれば「駅の看板」「ポスティング」「WEB・SNS」などで広告を出すのもよいでしょう。

弁護士としての取り扱い範囲の決定

独立開業後に取り扱う範囲を決めることも重要です。

これまでの経験から「専門分野」「自信のある分野」が絞れている方は、あまり迷わないかもしれません。しかし独立開業をきっかけに、「取り扱う範囲を広げたい」と考える方もいるでしょう。

新しい分野に関わる場合には、やはり最初のうちは勉強に時間を割かれます。「独立開業後にさまざまな変化が起こるなかで、しっかりと勉強に時間を割けるのか」は考えておく必要があるでしょう。

事務員を雇うか

事務職・パラリーガルを雇うかどうかも、独立開業に際して考えておくべきことです。求人を出してもすぐに人が集まるかわからないので、開業前から準備しておく必要があります。

「電話・来客応対」「書面や証拠の提出」「書類整理」「経理事務」などの事務作業全般を担当してくれるスタッフがいれば、弁護士の事務負担は大きく減り、法律業務に専念でき、効率がアップします。外出する際、留守番をしてくれるスタッフがいるのも助かります。

そのためもちろん事務員がいてくれるに越したことはないのですが、事務員・パラリーガルを雇うと人件費がかかります。特に「法律事務所での勤務経験がある」「法律関連の手続きの知識がある」といった人材は、人件費が高くなりがちです。

人件費を抑えつつ事務作業をしてくれるスタッフを雇いたい場合は、「週2日」「午前中だけ」などのパート雇用も考えてみましょう。経営が安定するまでは、弁護士が自分で事務作業を行うケースもあります。

報酬基準をどうするか

弁護士報酬は自由化されているので、自分で決められます。そのため独立開業後の料金体系をどうするかも、開業前に決めておく必要があります。

例えば「着手金無料で完全成功報酬型」「着手金多めで報酬は少なめ」といったパターンがあります。相談料も弁護士によって異なりますし、「初回は無料」というところもありますね。

「旧弁護士会報酬規程」や競合の料金体系を参考に決めてみるとよいでしょう。

日弁連の独立開業支援の活用

日弁連では弁護士の独立開業支援を行っています。

例えば人口あたりの弁護士数や法律事務所の数が少ない簡易裁判所管轄区(偏在解消対策地区)で開業しようとする弁護士に対し、無利息で350万円を貸し付けてくれます。

また即時・早期独立開業弁護士に対しては、事件処理や事務所の運営に関する相談ができる「チューター弁護士」という支援制度もあります。

独立開業を目指す弁護士が、先輩弁護士に「開業準備の手続き」や「弁護士業務」についての質問ができるメーリングリストもあります。

日弁連が編集した「弁護士のための事務所開設・運営の手引き」も販売されていますので、参考にしてみましょう。

独立開業後の新規顧客獲得方法

独立開業後の具体的な新規顧客獲得方法についても紹介します。

  • 事務所の公式サイトを作成し、弁護士としての経歴や得意分野をアピール
  • 弁護士会・市区町村・法テラスの法律相談
  • 国選弁護人名簿に登録
  • 異業種交流会に参加し経営者とのつながりをつくる

事務所の公式サイトを作成し、弁護士としての経歴や得意分野をアピール

まずは事務所の公式サイトを作成しましょう。独立開業後、インターネット経由で依頼者を集める弁護士は多いです。公式サイトがないと、存在すら知ってもらえないことも考えられます。

公式サイトでは「経歴」「得意分野」をアピールするのがおすすめです。得意分野に関するコラム・ブログを掲載している先生方も多いですね。

なおつくりが雑なサイトだと、不信感につながり逆効果です。

そのため公式サイトの作成に当たっては、WEB制作会社などのプロに依頼しましょう。クラウドソーシングなどで、個人のWEBデザイナー・プログラマーに安価に依頼することもできます。

弁護士会・市区町村・法テラスの法律相談

新規依頼獲得のため、弁護士会・市町村役場・法テラスに寄せられた法律相談を受ける方法もあります。市町村の法律相談も、弁護士会から弁護士が派遣されます。

小規模な案件が多く、専門分野の案件にあたるとも限りませんが、相談から受任につながる可能性もあります。

国選弁護人名簿に登録

国選弁護人になって一定の収入を得る方法もあります。国選弁護人になるには、法テラスと国選弁護人契約を結びます。

国選弁護人の報酬は高いとはいえませんが、独立開業直後であまり仕事が増えない場合には、貴重な機会となる可能性があります。

異業種交流会・弁護士会の研修に参加し人脈をつくる

異業種交流会や弁護士会の研修・委員会などに参加して人脈をつくることも、新規案件獲得につながります。

例えば知り合った経営者から顧問弁護士を頼まれることもあるでしょうし、他士業の方々から案件を紹介してもらうこともあります。

例えば社会保険労務士と知り合いになっていると、労務管理から訴訟に発展しそうな場合に相談が入るかもしれません。また他の弁護士と知り合いになっておくことで、「自分は利益相談で受けられないんだけど」と案件を紹介してもらえることもあるでしょう。

以前勤務していた法律事務所と良い関係を続けておくことで、仕事を紹介してもらえたり共同受任させてもらえたりすることもあります。

まとめ:弁護士の独立開業マニュアル!法律事務所に必要なものと年収について解説

弁護士の独立開業時にかかる費用は、自宅開業で50万円程度、オフィスを借りる場合で100万円~300万円程度です。

ただし「家賃の額」「事務員を雇うかどうか」「備品を新品にするか中古にするか」などによって金額は変わります。

できるだけ費用を抑えたいなら、背伸びしたオフィスは借りず、備品も「きれいな中古品」などを使うとよいでしょう。複合機(コピー・プリント・FAXなどができる)は購入すると高額なので、初期費用を安くできるリースがおすすめです。

なお弁護士のオフィスには、電話・FAX・インターネットが必須。電話・FAXを動かしたりお湯を沸かしたりするための電気・ガス・水道も必要となります。

電気・ガス・水道の契約そのものには初期費用はかかりません。ただ電力会社・ガス会社の選び方によっては、ランニングコストが高くなってしまう可能性もあります。新電力や新ガスなど、お得に使える会社を選ぶのがおすすめです。

電話・FAX・インターネット・光熱費については、まとめて手続きできる、こちらの【NTT】新規電話FAX番号・インターネット回線の最短導入窓口が便利です。こまごました契約をまとめて任せることで、より重要な「顧客獲得」「事務員の人選」などの準備に集中できます。

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